2010年6月5日土曜日

白と黒。

今晩は、色男です。

勤め人だった頃通っていたバーの厨房の壁に何故か古ぼけたパティ・スミスのCDジャケットが貼ってあり、とはいえそこは会社組織の店なので、既に入れ替わったかつてのスタッフが貼ったのであろうがその所以など今となっては誰も分かりはしない、という状況である。
http://www.mapplethorpe.org/

パティのその有名なデビュー盤ジャケットは、ゲイのモノクロ・フォトグラファがロバート・メイプルソープが撮影したものであるのですが、モノクロ。
2つの色、ブラック&ホワイトのグラデイションで撮られた写真、要素が少なくなれば表現の幅は狭くなり没個性化するのではないか、と頭では単純に考えてみても、その作品の空気感というのは。

人間は空気を持っているので、それが無尽蔵にとっ散らかった人の海に埋没してしまえば空からそれを見つけ出すのは困難だ。神さまは空からわたし達を見守ってくれているのだから。←ホントかい?

彼の写真の乾いたトーンは、日本の湿った空気ではきっと作られなかった色であろうと思った。
湿った空気に生まれ育ったボクは熱せられた土から立ち上る水蒸気が乱す光線の具合を畳の草の匂いに頬を押しつけて、夕方の陽は西から差す。

自分の中から他人の色を除いて、屑酒からスピリッツを蒸留するが如く、純度の高いアルコールは鼻の粘膜を刺激する。

「お前、口の中がひりひりする酒ってのは」
「胃の中も荒らすんじゃないのかい?」

以前母とリカールについて話した時の言葉。それもそうだな。

肉体はしなやかで、艶やかで、歯を立てると皮下の薄い脂肪が気持ち良く。
しかし日本の湿った空気で汗ばんだ身体よりも、乾いたさらさらした肌の方が官能的かも。いや、日本の湯気昇る肌を舐める方が官能的だ。主観の相違だね。

ああ、そろそろお休みなさい。色男がお届け致しました。
 

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