自転車にまたがって、気付いたら田端にいた。田端ってどこだよ?
道を走りながら、
「ああここ曲がったら迷っちゃうなぁ。」
と思いながらその角に吸い込まれていく。この癖は治らない。
だから、できるだけ身軽でいなくては。迷った時に、荷物は邪魔だ。
全部さようなら。置いていくよ、猫も。ひとりで強く生きるんだよ。
黙ってじっとしていると、気付かないうちに錘りが巻き付いていたりするものだ。そうすれば、身軽ではいられなくなる。
このまま山手線の外側へずっと外れて行くならば見た事の無い風景を見たのだろうが、そこまでのリスクはとらない。そんな小市民的なところがこの人の限界だ。
上野に出る。いつものような不忍池。いつものような。いつものように。
ストレンジャー・ザン・パラダイスの台詞。
「なんだ、こんな遠くにまで来た筈なのに、 見たことのあるような風景ばかりだよ。」
見たことの無い色。あなたが最後に「それまでに見たことの無い色」を見たのは、いつですか?
へんな交差点を曲がってしまったが為に、それまでに知らなかった通りを沢山通ってしまった。どれも見たことのあるような風景ばかりだった。
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