2011年8月7日日曜日

木更津。

※ 千葉のみなさまごめんなさい。


まず、地方出身上京者にとって千葉は謎だ。都内を走るクルマの袖ヶ浦とか、習志野ナンバーが読めるようになるのに上京何年か。
千葉というのが東京寄り、成田寄り、内房、外房(房総半島の東京湾側か、太平洋に面している方か)みたいなエリアに分かれていること。こんなのが理解出来たのも極最近だ。浦安と浦和って違うのね。

いや千葉の方には悪いが、関東圏以外の人がこれ読んでもなにがなんだか、くらいの認識しかないはず。
おいらが「静岡出身です」というと「サッカーやってたの?(清水じゃねーよ)」「鰻パイ食べるの?(それ浜松だし)」というのと同じだな。

おいらにとっての千葉ってのはパタリロでノース・ダコタ出身のヒューイットを脅す時の
「このアメリカの千葉県民」
という台詞で印象付けられた。
月光仮面が怪人を追ってバイクで千葉に入るのだが、途中で遭難して死ぬんだそうだ。
この件はパタリロの作者に文句言ってくれ。


無職の頃、千葉って行ってみようかと思ったが、東京の隣に行くにも拘らず交通費がバカにならんので諦めていたのだが。
今朝、ふと「木更津に行ってみよう」と思った。
木更津なんて地名、木更津キャッツアイが無ければ知らなかったろうに。別に木更津キャッツアイ、観たこと無いんだけど。(面白そうだね。)

交通費、片道1500円くらいか。時間?おいこんだけありゃ実家に帰れるぜ。まぁいい。スイカとカメラがありゃ他なにも要らないさ。夏の土曜日の午前中。

最寄り駅に着くと「ポケモンラリー」が始まっていた。あんまり子供の楽しみにケチつけたく無いんだけど、ありゃ毎年五月蝿いよ。
飯田橋から総武線に乗り込む。中央線と総武線の違いが最近ようやく分かったおいらは、今日初めて「総」「武」線であることを実体験した。

千葉駅から内房線に乗り換えたのだが、内房線に乗った瞬間から、それまでの「東京の延長」から「ローカル線」に変わる。
ガラガラの車両の中は、横椅子の二人分を使って座る。
途中から乗ってきた完全に柳沢慎吾調の男はデカい声で歌を歌い、口笛を吹き、携帯電話で話をし、二つ折り携帯電話を開け閉めする時にパチコンパチコンとデカい音を立てた。
千葉怖いな。イヤホンでレッド・ゼッペリン聴いていてもそれが分かるくらいだから、イヤホンして無ければ耐えられんかっただろう。
こういう輩は、「自己客観視能力の欠如」か「歪んだ自己顕示欲」のどちらかなのだろうが。

木更津に着く。
「どうせ臨海地方都市なんだろ?」と思っていたおいらの期待を、いい意味で裏切ってくれた。

なにも無い、駅前から港に向かうただ広い4車線の道路は、縮尺が狂っていくら歩いても進んだ実感が湧かない。
限りなく180度に近く空を見渡せる。霞ヶ関の機能をそのまま移植することが出来るくらい、なにも無い地が広がる。
港から半島の対岸を眺めると、遥か彼方に蜃気楼のように高層ビル群が浮かんでいた。この街の連中は、この景色をどう思うのだろうよ。

なにも無い。いや、なにかはあるんだが、なにも無いんだよ。蝉の抜殻みたいに、そこになにかはあっても、それ自体に意味は無い。
ゴリラーマンで藤本がウォークマンでジミヘンのフリーダムを聴いてる場面があるのだが。木更津という街は、そんな気分の街だ。
Get out from here, Freedom


なにか地のモンでも喰おうと思ってふらっと入った店は、「店で適当に海鮮物を選んで金を払い、席で焼いて食べる式」の店だった。BBQ形式なんだな。結構人が入っていた。
ひとりでビール飲みながらBBQさ。ごめんよ雰囲気悪くしてな。
しかし、こういうセルフ形式の店ってさ。素人が焼いたって美味く出来ないだろ?焼き慣れなきゃ食べ頃も分からんだろうに。一個800円と600円の岩牡蠣の、600円の方は明らかに焼き過ぎた。


店を出る。駅まで長い道程を戻る。駅前の巨大ビル内には、店舗が入っていなかった。ガラガラだ。それでも巨大なビルには空調が利いていて、老人や中学生が涼みに来ていた。
蝉の抜殻みたいだな。そう思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿