2011年9月4日日曜日

めりごらうんど。

Watching The Wheels という曲がある。
中学の頃、中古レコード屋でシングル盤を買った。当時の僕は手に取るものすべてが新しく、レコードなんてワクワクしながらずっと聴いてたもんだ。
beatles が好きだったので、beatles と、その関連ソロレコードを少ない小遣いで買っていた。そんな時期だ。

Watching The Wheels は1980年に発表されたジョン・レノンのアルバムに入っている曲で、彼が客死した後にシングル・カットされた。
彼の曲というのは私小説的要素が高い曲が多く、ある程度背景が分からないとなにを歌っているか分からんことがあるかも知れない。
1960年代を beatles という世界最大の出し物の一員で過ごした彼は、1970年のバンドの解散後数枚のレコードを制作する。しかし1975年に二人目の妻との間の子が産まれると、それを契機に音楽業界から引退し、子育てに専念する。

メディアは時々彼の近況を報じるのであったが、あのジョン・レノンがキッチンでパンを焼いて子供と過ごしている、というのが世間には衝撃だったようだ。

あんたは頭が狂っちまったのかい?

Watching The Wheels はそれに対する回答。

「俺はもうメリー・ゴウラウンドには乗らないんだ。もう、あれが廻っているのを眺めるだけでいいんだよ。」


中学の頃の僕には(もちろんこの曲の背景は分かっていたのだが、心情として)ふーん、そんな気分にもなるのかい?と思っていたのだが。
実際にジョン・レノンの歳に近くなって来ると、うん、もう乗らないんだよね。

昨日、以前の職場の後輩というか部下というかな男と飲みに行く。
ここのところ数ヶ月、完全に酒が弱くなった。無理が利かない。
前の職場の話を聞くと、誰某が倒れた、誰某が無理が祟って休職、倒れた人達はまだ1年も帰って来ない。とか。

みんなメリー・ゴウラウンドに乗っているんだな。しがみついて。
なんてぽけっと想う。廻り出したら、降りられないんだよ。
僕も高速でぐるんぐるん廻って楽しいな、と思っていたんだろうな。でもふとそこから降りれば、それはそれで滑稽な光景だ。

滑稽というのは、降りた人間の視点であって、別にそれに乗っている人をバカにしてはいないよ。立派だと思う。
なんだかいくつものメリー・ゴウラウンドが僕の遊園地の中で廻っている。
大概は、ベンチで廻っているのをみるだけだ。

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