2012年1月21日土曜日

MOTHER / その1。 (新年の風景pt2)

暮れの帰省で甥に会う。丁度この正月で二歳になった。会うのは二度目で、前回は祖母の葬儀、一歳と二ヶ月くらいだった。
前回会った時は人見知りして表情に乏しく、抱いてやろうと思えば嫌がり泣いて、その上でおいらが知る誰にも似ていなかった。この「誰にも」ってのは「おいらの血縁の」ってことね。
つまりややさん一家の血を色濃くは継いでいない顔だった。

なんだかさ。そうするとさ。可愛く無いんだよ。
別に妹夫婦と交流がある訳でも無いしさ。(物理的距離も遠いし)甥っ子なんておいらにゃどうでもいい存在だった。

猫の方が、可愛い。

うちの猫も連れての帰省だったから、猫の心配ばかりしたよ。もし甥にちょっかい出されて心労でくたばっちゃったりしたらさ。うちの子繊細なのよ。
という思いで帰省する。


久々に甥に逢うとだな。前回の無表情で警戒心に溢れた顔では無く、妙に愛嬌振りまいて、うーだうだなんだか喋ってたよ。

「あかぶーぶ」=赤い自動車。
「しろぶーぶ」=白い自動車。
「にゃあ」=猫。
「まんま」=母親=おいらの妹さん。

とかいろいろ言っている。

するとだな。なんだか妙に可愛らしいんだよな。
相変らず、「ややさんち」系の顔立ちでは無い。義弟の家系の誰だかに似ているらしい。こりゃ失礼だが義弟というのも「色男系」という訳でも無いので、なんだかこれは「赤ん坊の可愛さ」ってやつなのだろうかね。と思ってみる。

「じいじ」と呼ばれて父は笑いながらその呼び名を否定していた。
誰に抱かれても平気なのに母にだけは抱かれるとむずがる。ヒッヒ。子供は悪い人が分かるんだよ。
「志を持って生きろ。常に弱い者の味方でいろ。」
と母が言うと、義弟が
「いや強い者につけ、と教育しています。」
と言う。
赤ん坊でも喰うかとゴーダ・チーズの何年か熟成したものを母が喰わせようとするのだが、喰わない。
「いや、こういうのは食べませんよ。」
「いやこういうの喰うような人になって欲しいと思ってさ。」
「だから食べませんって。」

義弟君。うちの母親がどういう人間か分かって来たかな。こんな親に教育されていきると世を棄てて髪を伸ばす大人くらいにしか成れんのだよ。

などと思って眺める家族風景。 

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