2012年6月9日土曜日

せんちめんたる。

犯罪加害者に思い入れをしちゃいけない。それは前提なんだが。


菊地直子が逮捕されたんだってね。
彼女、おいらと同い年でね。おいらが大学卒業する年にサリン事件が起こったから、その後おいらが紆余曲折いろいろと労働していた年月、逃亡生活だったんだね。

事件の日はオンナの家で目覚めてさ。ふたりでテレビ観ながら、
「東京潰す気だよ、やつら。」
とか言ってた気がする。あれ?オウムの時だっけ?阪神大震災の日はオンナの家で目覚めた気がすんだけど。記憶が少し混濁している。
その数ヶ月後に就職した会社が日比谷線沿いでさ。事件の日は大変だった、なんて話してたよな。それから17年。

おいらはすっかり訳の分からない肉の塊に成り下がり、肉の保存と精神の腐敗のためにアルコールを注ぎ、現実を直視しないで日々を過ごしている。

菊地直子は、求婚されたんだってね。
そしたら出来ないと。

「わたしは菊地直子です。」

だそうだ。それでも男は一緒にいたんだねえ。ストックホルム・シンドロームだっけ?多分それとは違うんだけど、なんだかロマンチックな気分になったんだろうよ。愛するオンナが持っている秘密を共有して、護らなければいけない。
籍は入れられない。
子供も作れない。
それでも、オンナの秘密を共有して、漏らさない。

もう、他になにも要らないだろうよ。それだけで生きてる理由になるじゃない。
生きてる理由があるってのは、いいことだね。

結局、なんだか肯定的な気分になるのさ。
多分、菊地直子は大した罪にも問われず、数年後に出て来るんだろうよ。
そしたら結婚するのかな。
いいんじゃないの、それで。

そしたら、次の生きる理由を見つけないとね。
 

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