2010年10月1日金曜日

ピンク・ジン。

アンゴスチュラ・ビターズを2振り。ジンを60ml。
パティ・ボイドの伝記を読んでいたら、彼女の祖母が好んで飲んでいたそうだ。
祖母の香りはピンク・ジン。

これは、悪魔の酒だな。堕ちたいときだけ作る。
頭の中は歪に回転し、心は内と外を入れ替えて、口から外に飛び出す。インサイド/アウト。胃粘液は黄色く、触れるものを溶かす。
サイケデリックの昆虫は皮膚下で腐肉を喰い荒らす。ウジ虫は蛹となって悪意の関節をもった羽虫となる。その羽音は、鼓膜を羽根で撫で回す。乳首で体側を撫で回す商売女が、男の絶頂を見届ける前に首元を噛み切る。
緑の血流は床でピンクに変色する。色盲の弟は、意味が分からないと首を振る。緑色の渦は回転する。ただ、その回転が時計回りなのか、その反対なのか、幾重にもなった渦は起点と終点を、それは持ち合わせているはずなのに、あたかも無かったかのように、ただ存在するのは回転しているということ。
回る。渦。色は、色彩は意味を無くして薄れていく。モノクロに近くなったところで、母に尋ねる。色とは?
「色の名前に意味は無い。」
名前によって規定されないものは、区別を持たない。アイデンティティを失ったその塊は、ただ気紛れに回転運動に参加するだけであった。


というところで、酔いが覚めた。ピンク・ジン、一杯目。
 

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