2010年11月7日日曜日

ミセス・ロビンソン。

ダスティン・ホフマンが好き。あの過剰な演技が。

でも俳優で一番好きなのは、マルチェロ・マストロヤンニだけどね。もしボクに嫁がいて、彼女がマストロヤンニと一晩過ごすことがあったなら
「よくやった!」
と言ってワクワクしながらマストロヤンニとの一夜のことを聞き出すだろう。彼はどんな風に妻を口説き、どんな食事に誘い、ベッドの上ではどんなだったのか?
もう、それはワクワクするよ。どんな極上の映画よりも魅惑的だろう。

で、なんだっけ? ダスティン・ホフマンか。
「マラソンマン」とか「パピヨン」とか。「トッツィー」「レインマン」ね。
「クレイマー、クレイマー」は観てない。「真夜中のカーボーイ」は、あらすじを眺めると観たような気がするんだけど、観た確信が持てない。若い頃ミァ・ファーロウと出てるのも観たな。

まぁでも彼の出世作は「卒業」(1967年)だよねぇ。
ボク、これ好きなんだよ。人によってどう解釈するのか分からないけれど、ボクはこの映画の「救いようの無い」ところが好き。


【あらすじ:ネタバレだよ】
大学を優秀な成績で卒業して実家に帰省していたベン。彼の卒業を祝うパーティーが自宅で催されるが、彼はなにか「虚無感」に取り憑かれている。
同時期に帰省していた近所のエレーンとのデートを勧められ、そのまま気乗りのしないデートをするが、やはり満たされない。
ところがある日、エレーンの母であるミセス・ロビンソンに誘われ、そのまま人妻と情事を重ねてしまう。
ミセス・ロビンソンとの関係がばれ、すべてを失うベン。学生生活に戻ったエレーンを追って彼女の住む街に行くが、当然相手にされない。ふたりの誤解は解けないままだった。
ある日ベンはエレーンが学校をやめ、男と結婚をすることを知る。
結婚式当日、ようやく教会に辿り着いた彼は、教会の扉を開け放ちエレーンの名を叫ぶ。ベンに駆け寄るエレーン。花嫁を奪い取ったベンは、そのままエレーンと共にバスに乗り込むのであった。



これ一見ハッピー・エンドなんだけどさ。どうみてもボクには救いようの無い話に思えるんだよな。

・理由無き虚無感(-10)
・約束されていた将来を棒に振る(-10)
・家族/近隣の人々との信頼関係(-10)
・エレーン(-10)

マイナス、40点。 最後にエレーンを奪い取って、マイナス10点分は取り戻した。でもさ。大半の他のマイナスは残ったままじゃね?
なんかひとつのことをやり遂げた充実感で満たされた気分になっているだけで、実は根本的なことの解決はなにもされていないでしょう。

なんだかそんな「救いようの無い」感じが、ボクは好きなんだよな。
幸福そうなエンディングが、とても怖い皮肉に思える。


音楽は、サイモン&ガーファンクル。
映画用に作った短いフレイズを後に発展的に展開してシングルにした曲が
「ミセス・ロビンソン」。1968年のグラミー賞受賞曲。
彼女に対して、幾分皮肉めいた口調で語りかける男の台詞。

詞中に、ジョー・ディマジオが出てくる。ニューヨーク・ヤンキースの、走攻守揃ったスーパー・スター。
歌は、既に1951年に引退した彼の影を今でも追うミセス・ロビンソンを皮肉る。

グラウンドの外でも紳士として知られたディマジオは、1954年にマリリン・モンローと結婚。しかし本来スーパー・スターであるはずの彼が、妻と いると妻ばかりが取りざたされる状況に嫉妬したのか9ヶ月で結婚生活が破綻。人格者であっても、そのプライドが許さなかったのだろう。
モンローの死後ディマジオは彼女の葬儀を取り仕切り、生涯に渡って週に2回彼女の墓前にアメリカン・ビューティ(薔薇)を捧げたという。

ディマジオが1999年に亡くなると、ヤンキー・スタジアムのグラウンドにポール・サイモンは立ち、彼のためにミセス・ロビンソンを歌い捧げた。 


http://www.youtube.com/watch?v=DRlRlS7uZDw
 

0 件のコメント:

コメントを投稿